2009年04月18日
看板猿
旅の道すがら、何に誘われたというわけでもなくふらりと脇道に足を踏み入れることがある。表通りの喧騒からは隔絶された町並みに驚かされながらも歩みを進めると、そこが袋小路であったりするのもまた楽しい。生活のにおいがする。昨日今日で来た私鉄沿線の新興住宅街にはないある種熟したにおいだ。「昭和の」などとひとくくりにかたづけてほしくない。人が生きてきたにおいなのだ。まるでアリの巣の観察セットに描かれた迷路のような生活の轍。板塀と軒先につるされた洗濯物の間にからだをすべりこませてようやく通り抜けられるような小径の先には、ぽっかりとひらかれた軽自動車2台分ぐらいの空間があり、近所の悪ガキが忘れていったのであろう玩具がひとつ。急に私は不安になる。あわてて表通りに戻る道をさがし始める。このままでは私もあの玩具のようにだれの目にも触れないままあの場所に置き去りにされてしまいそうな気がしたからだ。
表通りに戻るのに実際はどのくらいの時間も有さなかった筈であるが、真新しいシャツの背中はいやな汗でぐっしょりと濡れていた。



表通りに戻るのに実際はどのくらいの時間も有さなかった筈であるが、真新しいシャツの背中はいやな汗でぐっしょりと濡れていた。



Posted by Hanae at 13:44│Comments(0)
│モンキー
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